今日は2025年11月21日です。先月10月あたりから、近隣市町で熊と思われる野生動物が目撃されるという事例が急増しています。今までではなかった渡良瀬川での目撃も複数寄せられています。
個々の目撃情報が飛び交っていて全体像が掴みづらいので、整理してみることにします。
最初にお断りしておきますが、十分な時間を取れないため、今回は簡易的な内容になります。
まず、両毛地域について。
群馬県南東部と栃木県南西部の地域を指します。具体的にはみどり市、桐生市、太田市、大泉町、邑楽町、千代田町、館林市、明和町、板倉町(以上群馬県)、足利市、佐野市(以上栃木県)が両毛地域です。この地域は関東平野に位置しますが、北部の方は山間部となる、いわば関東平野の縁にあります。
山間部の方には以前から熊などの野生動物が多数生息しており、目撃もされてきました。
ですが、平野部のほうでは熊はまったくおらず、近年イノシシが増加してきて社会問題化しています。と言えたのも過去の話になりつつあります。というのも、今年10月に入り平野部での熊と見られる動物の目撃が相次ぐようになったからです。
このページではその熊の出没傾向について探ろうと思います。
両毛地域における熊出没地図
まずは、作成した地図です。地図はタップすると拡大します。
地図のタイトルは「両毛地域における熊出没情報抜粋(以上2025年10月~2025年11月21日)」です。抜粋としているのはこの期間のすべての目撃情報を網羅していないからです。具体的には桐生市・足利市・佐野市・館林市・栃木市・板倉町・明和町での市街地や河川沿いの出没情報になります。山の中での目撃情報は含んでいません。
この地図の作成はけっこう大変でした。なぜかというと、情報がバラバラにあるからです。群馬県からの情報、下野新聞からの情報、足利市からの情報、佐野市からの情報、群馬県警からの情報、などそれぞれ独自に配信しているので、まとめるのに手間がかかりました。
それはおいといて、地図からわかることを拾っていきます。
- 熊は山から街へやってくる
- 熊は川沿いを移動する
- 熊の移動経路はイノシシのそれに似ている
1.熊は山から街へやってくる
これは文字通りです。街のフチのところ、すぐそばが山林になっているところで、熊はよく目撃されています。熊はもともと山にいるのですから当然と言えます。
2.熊は川沿いを移動する
住宅地などで目撃される熊がどこから来たのか、地図を見ながら考えると、そばに川が流れているケースがとても多いです。渡良瀬川のような大きい川から支川の小さい川まで、熊にとっては、人目に触れることも少なくハイウェイのようなものなのでしょう。
3.熊の移動経路はイノシシのそれに似ている
これは当然といえば当然ですね。イノシシも多くは川を利用して移動しています。その結果、渡良瀬川を伝って渡良瀬遊水地に大量のイノシシが生息するようになってしまい、2024年には1000頭を超えました。これって、将来熊が渡良瀬遊水地に大量に住み着く可能性があるってことですよね。恐ろしくなってきたな。
桐生市・足利市
上の地図を細かく分けて見てみます。まずは桐生市と足利市。
地図左の方から見ていきます。
桐生市では熊たちは山から桐生川沿いを下って市街地や渡良瀬川まで到達していると考えられます。
足利市では熊たちは山から松田川やその他もっと小さな川(名前がわかりませんでした)を伝って市街地や渡良瀬川まで到達していると考えられます。
渡良瀬川に到達した熊はそこから下流に移動しているようです。渡良瀬川左岸に到達した熊たちが中洲や右岸で何度も目撃されているのは、熊は泳ぎが得意だからなのでしょう。
佐野市
佐野市では熊たちは山から旗川や秋山川などの川沿いを下っていると考えられます。渡良瀬川まではやや距離があるので、そのせいか佐野市内の渡良瀬川流域での目撃は無いようです。ただし、上流から移動してきた熊が目撃される可能性はあります。
三毳山の北側にあるみかもクリーンセンター付近では熊が複数回目撃されています。三毳山に熊が生息しているのは確実でしょう。
次の写真2枚は、旗川の熊が目撃された場所です。
旗川橋から。田中正造の生家の近くです。川の向こう側の茂みのあたりで目撃されました。
村上大橋から。このあたりで熊が目撃されました。河川敷は2019年の台風被害から始まった治水工事が今の続いています。
渡良瀬遊水地・板倉町・明和町
渡良瀬遊水地まで熊は渡良瀬川の河川敷を移動したと考えられます。つまり、館林市内を通過しているかもしれません。「渡良瀬川河川敷青少年ひろばキャンプ場」でキャンプをするのは正直オススメできません。
11月20日に板倉町板倉で目撃された熊は渡良瀬遊水地から谷田川に沿って移動した可能性があります。
11月7日に明和町の利根川サイクリングロードで目撃された熊は渡良瀬遊水地から谷田川を経て、利根川に到達した可能性があります。
とりあえずのまとめ
時間が取れないので、今回は以上になります。なお、目撃された動物が熊以外の動物である可能性は否定できません。また熊であることを否定することもできません。調査を徹底するしかないと思います。
川を利用して移動している生態の解明には河川の監視が必要です。熊対策先進県である岩手県などの事例を見習って対策を立てるのがよいでしょう。それもなるべく早くです。
リンク
群馬県クマ出没マップを新たに作成しました(自然環境課) – 報道提供資料 – 群馬県ホームページ(自然環境課)





