9月2日、山本一太群馬県知事は定例記者会見を行いました。
20210902山本一太群馬県知事定例記者会見 – YouTube
その中から、新型コロナウイルス関連の内容をまとめました。
※記事内画像はモニター資料からの引用です。
県内の感染状況
8月20日の緊急事態宣言発令から2週間経った時点の群馬県内の感染状況です。
新規感染者数の推移
今週の新規感染者数は1377人。先週の1933人から556人減少しました。調べてみたところ、6月24日以降ずっと増加が続いていたようです。ようやく増加が止まり、減少に転じたというデータです。ただし、知事も危惧していますが、一時的な減少である可能性もあるので、まだ楽観はできません。
警戒度移行の判断基準 感染状況
感染状況の客観的な数値です。
新規感染者数の基準値は1日平均20人。
現在値は219.4人/日。1週間前から約20%減。
経路不明の感染者数の基準値は50%。
現在値は49.1%。
検査の陽性率の基準値は7%。
現在値は17.0%。
新規感染者数は前回から20%減となりましたが、いぜんとして基準の20人を大きく上回っている状態です。
新規感染者のワクチン接種状況
新規感染者のワクチン接種状況ごとの内訳です。
直近1週間の新規感染者1536人中、
未接種 1286人(84%)
1回のみ 170人(11%)
2回接種 80人(5%)
県民のワクチン接種率が高まってきましたが、感染が未接種の方に集中している傾向は変わりありません。
新規感染者の状況 年代別
新規感染者を年代別で分けたデータです。10代以下が26%となり、全体の1/4を越えました。
新規感染者の状況 推定感染経路別
学校での感染が増えている傾向です。学童保育や学習塾でクラスターが発生しています。
警戒度移行の判断基準 医療提供体制
医療提供体制の客観的数値です。
人工呼吸器使用の基準値は74台中38台。
現在値は17台。先週は17台。
うちECMO使用の基準値は12台中5台。
現在値は6台。先週は3台。
人工呼吸器は、医療スタッフが6名、時には10名必要になる場合があります。なので、人工呼吸器の利用が増えると、それだけで人的リソースがよりたくさん必要となるため、他の医療体制に影響が出ることがあります。病床は余っていても人工呼吸器にかかりきりの看護師が多く必要になれば、その病床はただのベッドに過ぎず、十分な医療を提供できなくなります。
医療体制の維持には単純な数値ではわからない面があるということですね。
中等症患者の入院状況
現在地は106人。先週は100人。先々週は82人。
病床の稼働率の基準値は警戒度2で15%、3で40%、4で70%。
現在値は69.5%。先週から若干下がりました。といっても、先々週の水準に戻っただけとも言えます。
宿泊療養施設の稼働状況は1133室中452人。
宿泊療養施設は8月31日より新たに太田市内のホテルが加わり162室追加され、971人から1133人受け入れ体制となりました。さらに、9月7日からは伊勢崎市のホテルが加わり、186室追加され、1319室体制になります。
このように群馬県は入院療養と宿泊療養による医療サービスの提供の向上に力を入れています。昨今話題になっている野戦病院は正規の病院ではありませんから。それよりもきちんと医療を提供できる入院と宿泊療養の質と量の向上を追求しています。
自宅療養者数は471人。
症状別の患者状況
入院療養している患者の症状別分布です。
カッコ内の数値は先週の値。
入院中328人(369人)
- 重症 8%(6%)
- 中等症 32%(27%)
- 軽症等 60%(67%)
重症、中等症の割合が増えています。ワクチン2回接種済の方で重症になった方はいません。
重症者・中等症患者の状況
重症者・中等症患者の年代別状況です。
カッコ内の数値は先週の値。
重症者25人(24人)
- 60代以上 16%(25%)
- 40~50代 76%(71%)
- 20~30代 8%(4%)
- 20歳未満 0%
中等症106人(100人)
- 60代以上 28%(25%)
- 40~50代 58%(58%)
- 20~30代 14%(16%)
- 20歳未満 0%
20~30代の重症者が増えています。1人から2人。増加数としては1人ですが、若い世代でも重症化する可能性があるということが重要です。
10万人当たりの新規感染者数:保健所管内別
保健所管内ごとの新規感染状況です。
県内ワースト3(太田・館林・伊勢崎)保健所管内は変わらず。
この3保健所管内は他の管内と比べてダブルスコア以上で新規感染者が多いエリアです。くれぐれも注意しましょう。
臨時医療施設(いわゆる野戦病院)に関する考え方
知事から、いわゆる野戦病院について群馬県はどう考えているかの説明がありました。
群馬県市長会から野戦病院的な臨時医療施設設置の要望が出ています。
新型コロナ 市長会、県に「野戦病院」要望 軽症、中等症受け入れ /群馬 | 毎日新聞
山本知事は群馬県としては、野戦病院はあくまでも最後の手段であって、今設置を考える段階には無いと明言しました。
以下、知事の発言から。
医療体制を考える上で、まず、入院と宿泊療養が両輪としてある。
群馬県は、入院が必要な人は速やかに入院できる体制を維持している。
宿泊療養や自宅療養をしている人が入院が必要となったときに確実に入院ができる体制を維持することが我々の責務である。
もし、これらの療養が機能不全に陥った場合に野戦病院というものを考えざるを得ない。
しかしながら、たとえば体育館にベッドを置けば医療を提供できるのかと言えば全くそんなことはなく医療人材や医療機材の確保、プライバシーの問題、など様々な問題があり、かんたんではない。
また、他県の話として、体育館など医療に適してはいない場所での医療提供となるので、空調設備から設置しなければならず、その設置だけでも1ヶ月から2ヶ月かかるなど、迅速に提供できるわけではない。
そのほかにもプライバシー確保の手当をする必要もあり、トイレや入浴設備の問題もある。
さらには、医療人材を確保できたとしても、派遣元の医療機関の医療提供がおろそかになってしまっては意味がない。
ハードだけではダメだと、県民の皆さんには理解していただきたい。
今後も入院療養と宿泊療養を諦めずに努力していきたい。
山本知事はこうしたことを述べました。
私も全く同感です。医療機関や宿泊施設で量を増やす可能性があるのであれば、そちらに力を入れて、医療水準も維持することが大事なことだと思います。
相手は感染症なので、ゾーニングも必要です。そうしたことまで医療に適していない建物で行うのはますます大変です。なんとかそれをやったとしても、それだけで患者が療養するのに適した場所になるわけでもありません。体育館ですからね。患者の負担も考慮すれば、宿泊療養のほうがずっといいと思います。
ワクチンについて
モデルナ社製ワクチン異物混入に関して
東毛ワクチン接種センターで、モデルナ社製ワクチンの1瓶から異物が発見された件についての説明がありました。
東毛ワクチン接種センターにて、8月29日にモデルナ社製ワクチンの1瓶から異物が見つかりました。この瓶は使用されていませんでした。
異物発見後は同じロット番号の別瓶も一時使用停止としました。
発見される前に同じロット番号のワクチンが4,500人に対して使用されましたが、健康被害は出ていません。
8月30日に厚労省から「有効性・安全性】問題なしと発表がありました。
それを受けて、9月1日より同じロット番号の別瓶の仕様を再開しました。
つまり、異物が見つかった瓶のワクチンは使用されていません。
今後も、ワクチンは目視をして入念に確認していくとしています。
群馬県のワクチン接種率
県全体のワクチン接種率は
1回 64.56% 3位(4位) 全国平均は55.17%
2回 49.85% 12位(12位) 全国平均は44.40%
※参考
16歳から64歳の1回目のワクチン接種率は群馬県が1位です。
県営ワクチン接種センターの稼働状況
県央ワクチン接種センター、東毛ワクチン接種センターの接種実績は以下の通り
県央ワクチン接種センターの稼働率が下がってきました。接種が進んだということでもあります。予約が取りやすくなっているので、接種を受けたい方にはチャンスとも言えます。
県央ワクチン接種センターの期間延長
県央ワクチン接種センターの開設期間の延長が決まりました。
当初は、1回目の接種が9月3日まででしたが、延長により10月2日が1回目接種締切となります。
1日最大1,000人。
また、予約方法が、従来のLINE以外に電話でも可能になります。
特に要望が寄せられていたわけではないそうですが、なるべく多くの方に受けてほしいということでの判断だそうです。
延長期間の接種は2回めの接種会場が前橋市の産業技術センターになります。
延長期間に接種を受ける方は1回目と2回目で接種会場が異なるので注意してください。
群馬県マスク地産地消推進プロジェクト
群馬県産の不織布マスクを普及させようと、昨年から「群馬県マスク地産地消推進プロジェクト」が始まっています。
群馬県マスク地産地消推進プロジェクトの詳細は以下のリンクから。
マスクの新製品も出るそうなので、興味のある方はぜひ!
山本知事からのお願い
会見の最後に、山本知事は県民へのお願いがありました。
これは直接見ていただきたいので、お願いの部分を頭出ししたリンクを貼っておきます。