7月編に続いて8月編とまとめです。
7月編と同じように、熊谷のデータとの比較をしてみます。
概要編が終わったら、次は他の暑いまちとして有名なまちをピックアップして、項目を絞って比較をしてみます。そちらのデータのほうがそれぞれの街の暑さの特徴が顕著に出ていておもしろいのですが、その前にもうしばらく概要編にお付き合いください。
館林の暑さ30年の歴史-8月編
館林の8月の暑さ
8月のデータを見ていきます。7月のデータと対比するとわかりやすいので、比べながら見ていきます。
A.月平均気温
ここからは7月のデータと比べながら8月のデータを見ていきます。左側が8月のデータです。
ひと目わかるのは、8月は7月にも増して館林の平均気温が高い傾向が強いです(熊谷と比較して)。過去30年間で熊谷のほうが平均気温が高かったのは1990年の1年だけ。そしてその差が2011年頃までは0.1〜0.2℃程度だったのが、それ以降は0.4〜0.5℃程度まで開きが出ています。つまり、2012年頃から相対的に館林の平均気温がより高くなっています。
各年のデータを見てみましょう。過去30年で8月の月平均気温が一番高かったのは2010年の29.4℃です。次点が2012年の29.2℃。反対に月平均気温が一番低かったのは1993年の24.2℃、次が1991年の24.9℃。猛暑と冷夏で8月の平均気温には4℃以上の開きがあることがわかります。
B.日最高気温の平均
次は日最高気温の平均値を見てみましょう。ほとんど7月と同じような傾向です。つまり以前は熊谷のほうが高かったのが2007年からは館林のほうが高い状態が続いています。このデータも近年館林が急激に暑くなったことを示しています。
過去30年間で8月の「日最高気温の平均」が最も高かった年は2012年の35.7℃です。次点が2010年の35.2℃。最も低かったのは1993年の28.0℃、次に低かったのが1991年の29.5℃です。
最も高い年と最も低い年との差は7.7℃。変動幅はかなり大きいです。
C.日最低気温の平均
さらに最高気温の反対の日最低気温の平均を見てみます。
こちらは日最高気温ほどわかりやすい差がありません。年ごとのばらつきも大きいように思えます。
過去30年間で8月の「日最低気温の平均」の最も高かった年は1999年の23.4℃です。次点が2010年の22.9℃。最も低かったのは2004年の16.8℃、次に低かったのが1993年と1996年の17.4℃。
最も高い年と最も低い年との差は6℃です。
D.猛暑日日数
猛暑日日数を見てみます。この数値は最高気温ランキングの上位に入るためには重要です。平均気温が高くても猛暑日日数が少なかったら最高気温ランキングにはなかなか入ってきません。夏の期間は最高気温ランキングのトップは猛暑日の基準である35℃を超えていることが常態化しているので、最高気温ランキング上位に入るには猛暑日日数が多いことが必須条件です。
表を見てみます。館林と熊谷と同じような傾向にあります。8月は31日あるので16日を越えると半分以上の日が猛暑日ということになります。感覚的には毎日が猛暑日というかんじですね。初めて猛暑日が16日を越えたのは1994年の18回です。翌年も15回と多かったですが、その後はひと桁の年が続きます。2007年に初の20日越えの21日を達成、翌2008年、2009年はまたひと桁に戻り、2010年に20日を記録してからは2016年までふた桁の年が7年連続で続いています。
ただし、日数は減り気味で2012年に21日を記録した翌年以降は16→13→12→11と推移しています。8月でこの数字は最高気温ランキング常連勢と比べると特に多くありません。実際に館林が最高気温1位になる日も減少傾向にあるようです。
その一方で、7月の猛暑日の多さは際立っていて、特に2015年7月の17日はすさまじかったです。この年は7月のほうが暑かったと言えます。7月が暑い館林と言えるかもしれません。
E.熱帯夜日数
過去30年間で8月の熱帯夜日数が最も多かった年は2010年の23日です。相当寝苦しい年だったはずです。次点が1994年の17日。最も少ない年は1989年と1993年の0日。エアコンいらずの年だったようです。
30年間の平均値を比べてみる
30年間のデータの平均値を出してみました。7月と8月、ついでに9月のデータも取ってみました。
10年ごとの平均値と30年間通しての平均値です。
このデータを見て目に付くのは、7月の「月平均気温」と「日最高気温の平均」の上昇です。
1987年〜1996年と2007年〜2016年の7月の「月平均気温」と「日最高気温の平均」を比べると、「月平均気温」は24.9℃→26.4℃(+1.5℃)、「日最高気温の平均」は29.3℃→31.7℃(+2.4℃)と変化しています。
8月のデータを見ると「月平均気温」は26.6℃→27.8℃(+1.2℃)、「日最高気温の平均」は31.6℃→33.3℃(+1.7℃)とこちらも上昇していますが、7月ほどではありません。
見方を変えれば、8月は昔から暑かったとも言えます。そして7月が8月をしのぐほど暑くなる年も出てきました。
興味深いのが「日最低気温の平均」です。こちらは1987年〜1996年と2007年〜2016年の比較で7月は17.5℃→18.7℃(+1.2℃)、8月は19.5℃→20.1℃(0.6℃)で「日最高気温の平均」ほどは上昇していません。
これは、どういうことかというと夜はそれほど暑くなっていないということですね。
表に「B-C」という項目がありますが、これは「日最高気温の平均」と「日最低気温の平均」の差です。これは近年どんどん開いていく傾向にあります。暑くなるほどには夜や明け方の気温は上がっていないというこです。日中暑くなっても夜は涼しくなっていると。いわゆるヒートアイランド現象は起こっていないか、起こっていたとしても影響は軽微だと言えます。熱帯夜が猛暑日ほど増えていないのはその現れだと思います。
まとめ
これまで見てきたデータから館林の暑さの概要をまとめてみます。
過去30年間の変化
- だんだん暑くなってきている。
- 7月の気温の上昇が顕著。
- 8月の気温上昇は一段落。近年は7月の暑さのほうが目立つことも。
- 暑い年と涼しい年と差はかなり顕著に出る。
- 夜はそれほど暑くなっていない。
- 2007年頃から夏の「日最高気温の平均」で熊谷を抜く。この年の8月観測史上唯一の2日間連続最高気温40℃台を記録。この年から「暑いまち」との認識が全国に広まった(?)。
ざっくりと、こんなかんじかなと思います。
概要は今回で終了です。数字だらけで読みにくかったかと思います。すみません。
次回からは、全国の強豪(?)との比較をしてみます。もっとわかりやすい内容になるはずなので、もうしばらくお付き合いください。
おまけ (でも熊谷は暑い)
以下、おまけです。
先の表を見ると、館林の暑さは熊谷を圧倒しているかのように思えてきますが、必ずしもそうとも言えないところがあります。
なぜかというと、最高気温記録では館林は熊谷に全然かなわないからです。
気象庁が公開している歴代記録ランキングがあります。これは、気温や降水量、風速、積雪量などの気象データの歴代のランキングです。通年のランキングと月ごとのランキングがわかります。
まず通年の最高気温ランキングを見てみます。
最高気温、熊谷は史上2位の40.9℃という記録を持っています。館林は40.3℃。
次に7月のランキングを見てみます。
7月は熊谷と館林が揃って39.9℃の記録。
8月はどうでしょう。
8月は熊谷が40.9℃で2位、館林は40.3℃で9位。館林は月の平均気温や日最高気温の平均では熊谷を圧倒しているはずなのに、最高気温記録ではこんなに離されています。
ついでに9月も見てみます。
はいこのとおり、9月も館林は熊谷にかないません。
つまり、大記録に関しては熊谷が館林を圧倒しています。コンスタントな暑さは館林に分がありますが、ここ一発の暑さは熊谷ということですね。
興味深いので取り上げてみました。暑さもいろんな要素があるのでランク付けをするのは難しいですね。